高卒採用は「食い合い」
高卒採用を実施している企業はまだまだ多いものです。
ですが、高卒採用を実施している業種はほぼ限定されます。
- 製造・・・30%ていど
- 建設・・・15%ていど
- 小売・・・15%ていど
- 医療・福祉・・・10%ていど
となっており、運輸業とサービス業を加えると7割を超えます。
特に高卒採用は応募者が実家から通える範囲で就職先を探すことがほとんどであり、同一エリア内にある同業他社や近いカテゴリに属する企業との食い合いだと言ってもいいでしょう。
長期的に見れば高卒就職者が右肩下がりで減少し、15%になろうという中、高卒新卒で労働力を確保する企業にとってはまさに死活問題です。
しかしそれを差し置いても高卒採用は企業にとって様々なメリットがあります。
その中でも企業にとって最も恩恵が大きいのはコスト面です。
高卒採用最大のメリットはコスト面
大卒採用や中途採用では、一人あたり70万円から100万円前後の採用コストがかかると言われています。
エージェントやナビサイトの利用、広告掲載などに大きな金額をかける必要があるためです。
それに対して、高卒採用では安ければ一人当たり10万円程度で採用が可能と言われています。
これはほぼ採用担当者の人件費であり、特に人手不足に悩まされている業界にとっては
「不足している頭数を安く採用できる」
ことが大きなメリットとなっています。
もちろん単にその場の採用経費だけでなく
- 即戦力として活用できる
- 内定辞退の心配がほぼない
点もメリットですが、いずれも
「高卒採用では採用・教育にかかる人的コストを下げられる」
点が大きなメリットと言えるでしょう。
「とにかく人手不足で、実作業をしてくれる人が一定数ほしいんだ」
という企業にとってやはり高卒採用はなくてはならないものなのです。
辞めない応募者を採用できていますか?
確かに高卒採用はコストが安く、それは企業にとって大きなメリットです。
しかしそれは裏を返せば
いくら安く採用できても、離職率が高ければ結局のところ人的コストがかかる
ということでもあります。
仮に10名採用し、一年経たずに全国平均である2名が辞めたとしましょう。
この場合、単純に採用コストは20万以上かかっているわけです。
もちろんそのほかに、研修や教育のコストがかかります。
毎年のことになれば周囲のモチベーションも下がるでしょう。
そしてそれは毎年繰り返される、完全に無駄なコストなのです。
大切なのは「辞めない応募者を採用する」ということです。
「応募者が少ないんだから採用するしかない」ではないのです。
- あの部署に入れた新卒は辞める
- あの高校から取った子は、自社では定着しない
- あの人の下につけると辞めていく
思い当たる節はあっても分析していないだけではないでしょうか
大切なのは「辞めない応募者を採用すること」。
そうでなければ結局、高卒採用をするコスト面でのメリットは帳消しになってしまいます。
「それでも高卒の方が安く採用できる」ではなく、応募者や既存従業員が自社にマッチングしているかを分析することが、全社的な幸せにつながることを再考してみましょう。