中小企業の管理部門には専門家がいない
どんな小さな会社であっても、管理部門が行う業務は発生します。
経理、労務管理、採用、法務…
ただし中小企業では、人事は専門の部署も担当者もおらず、誰かが兼任していることが多いのではないでしょうか。
総務と経理を一人でやっている。
労務管理は給与計算をする経理に紐づいている。
採用は総務部長であったり、あるいは社長が直接やったりしている。
法務は総務がやっていればまだいい方で、契約書チェックは各部署に任されている。
こんなことが、200名規模くらいまでの中小企業だと当たり前に行われています。
例として「採用」を挙げましたが、「人事」はその最たるものではないでしょうか。
「経理」の専門家はいても、「人事」の専門家がいる中小企業は少ないようです。
「人事のやり方」は教えてもらえない!?
私(CEO:井上)自身、ある150名規模の企業で、ある日突然「人事課長」として採用されました。
それまで管理部門で人事をやったことはなく、支所の採用業務や部下のマネジメント、部署での教育などをしてきたのが、
「この経験であればウチでは人事課長ができる」
と判断された(してもらった)わけです。
ちなみにその企業では人事担当者が不在で、総務部長や役員、あるいは部門長がバラバラに採用や教育など人事に関する業務をしていました。
とはいほぼ未経験で人事責任者を任せられることになった私にも、当然不安はありました。
ところが実際に入社してみると、人事制度も全くなく、採用も場当たり。
給与体系も定まっておらず、労務管理も総務部門と事業部が押し付けあっていて、現場ではセクハラの相談を誰にすればいいか分からない、といった状態だったのです。
こういった混沌とした状態では、複数社・複数部門で管理業務や人にまつわる業務、マネジメントをしてきた経験が役に立ちます。
その会社では数年勤めましたが、人事制度も採用でも、期待された実績を残すことができました。
とはいえ、それまでもそうでしたが「面接はこうやるんだよ」「人事制度はこうやって作るんだよ」と言うことは誰も教えてくれません。
どこかでそれなりの経験を積んだ人が、急に人事を任せられる。
それが日本における、中小企業の人事の実態なのでしょう。
中小企業は社内で人事の専門家を育てられるのか?
確かに200名規模までの中小企業であればそれで事足ります。
「制度自体がないから、ざっくりでも人事制度を作ってほしい」
「採用がうまく行っていないから、今より少し良くしてほしい」
「離職率が高いのでとりあえず下げたい」
こういった企業は多いでしょう。
そしてそれは人事専門職を雇うのでなく、「今できていないこと」の仕組みを教えてくれ、最初だけ伴奏してくれる人がいれば事足りるかもしれないのです。
確かに私は「人事」の経験がなくても人事ができてしまいました。
そして、誰も教えてくれない中でもがきながら人事をやり、一定の成果を出してきました。
それは裏を返せば「中小企業には人事の専門家がいない」ということでもあります。
中小企業の人事は、大手ベンチャー企業のようにキラキラしたものでもなければ、銀行のように「これを経験しなければ」といったものでありません。
経理のように、ないとどうしようもないというものでもない。
ですが、いざ「困った」となったときに、一から育てることができるようなものでもないのです。
中小企業における、人事の「困った」にはプロを。
そして一般論ではなく、自社の状況に合わせて一緒に歩んでいける事業者を選定しましょう。